街の記憶

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このごろ仕事場の周辺の下町エリアでどんどん家が解体されています。

たまたま借りている駐車場の真ん前の家が解体されていたので何となく解体作業をながめていました。

外見は私が子供の頃にたくさんあったような普通の家。築年数はどのくらいだろう?老朽化が進んで、というほど古そうな家でもないのですが、作業が進むにつれむき出しになった立派な梁が目に入りました。

そこにはたっぷりの墨で書かれた文字が。

おそらくこの家を建てた棟梁のサインでしょうか?

昔は家を建てた棟梁が屋根裏の梁にいつ誰が建てたかを記したと聞いたことがあります。(今でもですね!)

これが書かれた時に作り手は何を願ったのだろう。どんなドラマがあったんだろう。

作り手の想い、住む人の日々。どんな時間が流れていたんだろう。

なんて考えている間にもガガガガガと進む解体作業。

なんだか始まりと終わりをいっぺんに見たような気分でした。

このエリアにはどう見ても人が住んでなさそうな家がまだたくさんあるので、壊される家が増えていくと、私が子供の頃に友達と探検したような家と家の隙間とか細い路地とかそういうものが無くなっていくのかなぁと思うとさみしいですね。

時代が変わり、暮らしが変わり、あったものが無くなるということは街の宿命なのかもしれませんが、無くなってほしくないものはたくさんあります。